【終活を考え始めた人必見!】成年後見制度とは?相続の専門家がわかりやすく解説!

執筆者プロフィール

行政書士小巻秀夫
行政書士小巻秀夫
京都にて多くの相続案件に取り組む中で、生前のうちから準備をしていなかったために泥沼のような相続になったお客様を見てきました。そこで、皆さんの考えるきっかけになればと思い、コラムを執筆しております。
無料相談もいつでも受け付けていますので、是非一度ご相談ください。

「終活について考え始めたけど、よくわからない・・」
「成年後見人制度って聞いたことあるけど、どういうものなんだろう・・」

終活について考え始めた多くの人が、まず聞く言葉は成年後見人制度かと思います。

そんなあなたのために、本記事では、成年後見人制度について分かりやすく紹介します。

この記事を読めば、成年後見人制度についての悩みともサヨナラすることができますよ!

1.成年後見制度とは

成年後見制度とは、本人(=成年被後見人)認知症・知的障害・精神障害等によって判断能力が十分ではない方を、法律的に支援する制度です。

成年後見制度により、その本人の財産を家庭裁判所の監督の下で管理することができ、不当な契約等のリスクを防ぎ、財産を守ることができます。

また、後見人が本人の財産を管理することになり、その本人が単独で行った契約等を成年後見人が取り消すことができます。

このように本人の財産を守るための制度を指します。

2.成年後見制度の種類

成年後見制度には、任意後見制度と法定後見制度の2つです。

両者の一番の大きな違いは、後見人を選ぶタイミングが、判断能力が不十分になる前なのか、それとも不十分になった後かの違いです。

任意後見制度 判断能力が不十分になる前から、任意後見人を選び、代わりにしてほしいことを任意後見契約で決めておくもの。
法定後見制度 判断能力が不十分になってから、家庭裁判所によって成年後見人等が選ばれるもの。

(引用元:最高裁判所HP│成年後見制度-利用をお考えのあなたへ-(1)

それぞれについて、解説します。

(1)任意後見制度

成年後見制度とは、事前に後見人を選び、実際に認知症等で判断能力が衰えた場合に、選んでいた人を後見人として選任する制度です。

まず、成年被後見人の代わりにしたいことをまとめた契約(任意後見契約)は、公証人の作成する公正証書によって結びます。

公正証書とは
公正証書とは、法務省の管轄する役所である公証役場に認定された公文書として作成した証書のことを言います。
(公証役場一覧:日本公証人連合会HP

ただし、この段階ではまだ任意後見契約の効力は生じておらず、家庭裁判所で任意後見監督人が選任されて初めて効力が生じます。

任意後見監督人とは
任意後見監督人とは、家庭裁判所によって選任された任意後見人を監督する人です。
裁判所に対して任意後見監督人の候補者を推薦することができますが、推薦した候補者が選任されるとは限りません。
報酬額は家庭裁判所によりますが、管理財産額によって決定し、月額1万円~3万円程度が相場となっています。

任意後見人に申立てをすることができる人は、本人(任意後見契約の本人),配偶者,四親等内の親族,任意後見受任者です。

四親等内の親族とは、以下の親族です。

  1. 親,祖父母,子,孫,ひ孫
  2. 兄弟姉妹,甥,姪
  3. おじ,おば,いとこ
  4. 配偶者の親・子・兄弟姉妹

任意後見人監督人、任意後見人が裁判所で決まった後は、任意後見契約に従って財産を管理します。

(2)法定後見制度

法定後見制度とは、本人の判断能力が不十分になった後に、家庭裁判所によって成年後見人等が選ばれる制度です。

成年後見制度には「補助」、「保佐」、「後見」の3つの種類があり、本人の財産の管理を行います。

これらは、裁判所に開始の申し立てを行い、それぞれ選任されます。

(引用元:最高裁判所HP│成年後見制度-利用をお考えのあなたへ-(1)

ただし、後見・保佐・補助人には、日用品の購入などの日常生活に関する行為に対する権限がないことは注意が必要です。

3.成年後見人になれるのはどんな人か

成年後見人は、一般的には本人の身の回りのお世話をしている親族が選ばれますが、親族以外の第三者を選ぶことも可能です。

ここでは、親族と親族以外のケースでそれぞれについて詳しく解説します。

1.親族の場合

親族であっても、以下のような財産を管理する能力がないと思われる人は、法律上、成年後見人になることはできません。

  1. 未成年者であって結婚していない者
  2. 家庭裁判所で親権喪失の審判を受けた者や、家庭裁判所で解任された保佐人や補助人であった者
  3. 破産者であって免責決定を得ていない者
  4. 被後見人に対し、裁判をしたことがある者及びその者の配偶者、直系血族  等

2.親族以外の第三者の場合

次のような場合には、成年後見人に親族以外の第三者が選ばれる場合があります。

  1. 親族間において、成年後見人を誰にするかまとまらない場合
  2. 本人の資産が多い場合
  3. 成年後見人の候補者が高齢の場合 等

つまり、親族内でもめ事を起こしたくなく、専門家を第三者として挟みたい場合に第三者を成年後見人として選任します。

また、財産管理を行う後見人と身上介護を行う後見人を複数選ぶことも可能です。

4.成年後見人の職務とは

「成年後見制度についてわかったけど、実際に何をするのかな・・」

このように成年後見人となった場合にやるべきことに不安を感じているのではないでしょうか。

ここでは、成年後見人がすべきことについて分かりやすく解説します!

この章を読んで実際に選任されたら何をすべきかどうかをしっかりと理解しましょう。

1.成年被後見人の身上監護と財産管理

成年後見人が日ごろに行わなければならないことは、本人の身上監護と財産管理です。

身上監護とは、本人の身の回りのお世話をすることでなく、介護や施設、医療等の契約を本人に代わって行うことです。

また、本人の財産を計画的に使えるよう支出を管理することが役割となります。

そのため、成年後見人は、まず本人の財産目録を作成し、収入や支出についてきちんと記録し、領収書等の書類の管理を行います。

この際、本人とは別の人のために財産を使用したり、貸し付けをしたりすることはできません。

ただし、日用品の購入などの日常生活に関する行為に対しては、特に強く管理を要求されません。

2.家庭裁判所への報告

成年後見人は、後見等事務報告を行う必要があります。

後見等事務報告とは、家庭裁判所に年に1回、職務状況を報告することです。

報告する際には、報告書や本人の財産目録、預貯金通帳のコピー、収支表等の資料を提出します。

なお、後見人は、親族であっても、本人の財産から報酬を得ることが認められています。

その報酬金額は家庭裁判所が決定しますので、報酬を望まない場合でも、家庭裁判所に報酬付与の申し立てを行う必要があります。

まとめ

この記事では、成年後見人制度についてのメリット・デメリットの観点から解説しました。

成年後見人制度は、終活を考えるにあたって、とても重要な考え方です。

ですが、専門的な知識も必要とされ、自分一人では考えたとしても不安が付きまとうことかと思います。

そのため、もし少しでも不安であれば、まずは、【行政書士 小巻秀夫事務所】までご相談ください!