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遺言が無効になるケースと無効になるのを防ぐコツを分かりやすく解説!

執筆者プロフィール

行政書士小巻秀夫
行政書士小巻秀夫
京都にて多くの相続案件に取り組む中で、生前のうちから準備をしていなかったために泥沼のような相続になったお客様を見てきました。そこで、皆さんの考えるきっかけになればと思い、コラムを執筆しております。
無料相談もいつでも受け付けていますので、是非一度ご相談ください。

「遺言書を作成しようと思うけど、気を付けることは何かな?」
「遺言書が無効になる場合があるって聞いたけど、どんな場合なんだろう。。」

遺言書を書こうと思っている人の中には、もし遺言書が無効になるかもしれないと不安な人も多いのではないでしょうか。

本記事では、遺言書が無効になるケースから、無効になるのを防ぐコツまで分かりやすく紹介します。

遺言書の書き方については、以下の記事で詳しく解説しています。

この記事を読めば、無効になってしまうという最悪の場合を避けることができますよ!

1.遺言書が無効になるパターン5選

遺言書が無効になるパターン5選

遺言書が無効になるパターンをピックアップして紹介します。

今回紹介する遺言書が無効になるパターンは以下の5つです。

  1. 全て自筆ではない
  2. 日付・署名の記載がない
  3. 遺言者以外が書いている
  4. 相続内容が不明瞭になっている
  5. 2人以上が共同で書いている

順に紹介するので、どのようなケースで遺言者が無効になるのか把握しておきましょう!

なお、ここで紹介する無効になるパターンは自筆証書遺言を作成するときのものなので、公正証書遺言や秘密証書遺言などを作成する場合は、公正人に無効のパターンを確認することをおすすめします。

以下の記事で遺言書の種類をまとめているので、あわせてご覧ください。

(1)全て自筆ではない

全て自筆ではない

自筆証書遺言の場合は、一部でも自筆でない部分があると無効になります。

財産目録に関してはパソコンで作成しても問題ありませんが、それ以外の文章や作成日、署名の部分は全て手書きでなければ遺言書として認められません。

遺言内容が読み取れなければ遺言書として機能しなくなるので、自筆で遺言書を作成する際は、誰が見ても読めるようにゆっくり丁寧に記入しましょう!

ポイント
2019年1月13日の法改正「自筆証書遺言の方式の緩和」により、財産目録はパソコンでの作成ができるようになりました。
また、この財産目録は遺言者以外の人が作成したものでも問題なく、預貯金通帳のコピーを財産目録として添付することも可能になりました。
ただし、財産目録の全ページに遺言者が署名押印しなければならないことには、注意が必要です。
(引用元:法務省│自筆証書遺言に関するルールが変わります。

(2)日付・署名の記載がない

日付・署名の記載がない

作成日や署名の記載がないものは家庭裁判所から無効と判定されます。

遺言内容や書き方に問題がなくても、作成日が特定できなかったり、誰が作成したのか分からなかったりすると認められないのです。

作成日を特定できる書き方はいくつかありますが、「○年×月△日」のように日にちまで明確に記しておくことをおすすめします。

また、署名に関しては、誰が遺言書を作成したのか特定できれば芸名やペンネームでも問題ないとされていますが、有名人でない場合は、素直に本名をフルネームで記入しましょう!

(3)遺言者以外が書いている

遺言者以外が書いている

遺言書は本人が自筆しなければ効果がありません。

公正証書遺言や秘密証書遺言、特別方式遺言であれば、遺言者以外が作成しても有効になりますが、自筆で遺言書を作成する場合は、代理人に作成してもらうのは禁止されています。

時間がかかるかもしれませんが、最初から最後まで自分で書き終えましょう!

(4)相続内容が不明瞭になっている

相続内容が不明瞭になっている

書き方などの細かいルールを守っていても、相続内容が不明瞭な場合無効になります。

たとえば、相続財産として所有している不動産が記載されていても、誰にどの不動産を分配するか記載がなければ、トラブルの原因になるので無効になる可能性があるのです。

相続財産が多い人ほど細かく分配内容を記入する必要があるので、どの財産を誰にどのくらい相続するのか詳細に記しておきましょう!

(5)2人以上が共同で書いている

2人以上が共同で書いている

遺言書が遺言者本人だけでなく、他の者の手が加えられている場合も無効です。

自筆証書遺言の絶対的なルールとして、全て自筆しなければならない点が挙げられます。

したがって、どのような理由があろうとも、全て自分1人で書き終えましょう!

2.遺言者が遺言書でできる7つのこと

遺言者が遺言書でできる7つのこと

遺言者が遺言書でできることを紹介します。

遺言書の主な効力は以下の7つです。

  1. 相続分の指定
  2. 相続人の排除
  3. 相続財産の分割指定
  4. 内縁の妻と子の認知
  5. 後見人の指定
  6. 財産の寄贈
  7. 遺言執行者の指定

順に紹介するので、遺言内容を決めるときの参考にしてください!

(1)相続分の指定

相続分の指定

相続人ごとの相続分を細かく指定することができます。

たとえば、「Aに○○不動産の所有権、Bに××の土地の所有権を相続する」のように、財産ごとに相続先を指定することが可能です。

しかし、遺留分の制度がある以上、全相続人に財産を受け取る権利が発生します。

したがって、遺留分を考慮して、相続人の間でトラブルが発生しないように配慮してあげましょう!

無効にならないように、どの財産を誰にどのくらい相続するのか明記しておくことがポイントです。

(2)相続人の排除

相続人の排除

遺言書で相続人の排除をすることもできます。

しかし、何も理由なく簡単に相続人を排除することはできず、排除するのに見合った特別な理由が必要です。

たとえば、長期的な虐待行為が行われていたり反社会的勢力に所属していたりと、相続人としての権利を認めるのにふさわしくない理由がある場合に限り、排除することができます。

もし相続人を排除する場合は、排除理由を添えて排除する旨を記載しましょう!

(3)相続財産の分割指定

相続財産の分割指定

相続財産の分割指定をすることが可能です。

相続分の指定に類似しますが、同じ相続財産を複数の相続人に分割して相続する場合に行います。

たとえば、「預金額のうち、子Aに総額の1/2、子BとCにそれぞれ総額の1/4を相続する」のように、分割割合を指定することができるのです。

ただし、遺言書で相続財産の分割方法を指示しても、相続人の間で争いになる可能性があるので、財産分割の方法を相続人と無関係の第三者に考えてもらうこともできます。

また、財産の分割を相続開始から5年を超えない範囲で禁止することも可能です。

相続財産の分割指定をする場合、相続人の間でトラブルが発生しないように相続人が納得できる理由を一筆添えておきましょう!

(4)内縁の妻と子の認知

内縁の妻と子の認知

内縁の妻とその女性との間に子が存在する場合、遺言により認知することができます。

相続人は戸籍上の妻や子だけでなく内縁の妻や隠し子にも該当するので、遺言で認知することにより戸籍上無関係な人にも財産を受け取る権利が発生するのです。

遺言者が生前に内縁の妻や隠し子を認知することもできますが、戸籍上の妻や子との間に問題が生じる可能性が高いといえます。

相続人の間でトラブルが発生することを避けられないかもしれませんが、それでも内縁の妻や愛人、隠し子など戸籍上関係のない人たちに、遺産を相続したい場合は遺言書に記して認知をしましょう!

(5)後見人の指定

後見人の指定

相続人が制限行為能力者であれば、後見人の指定をすることもできます。

後見人とは、未成年や精神上の障害などにより判断能力が不十分と認定される者に代わって、権利や財産を管理するように法律上で定められた人のことです。

相続人の中には、自分が死亡することで親権者に該当する人がいなくなる未成年や、代理行為者がいなくなる精神疾患者などがいるケースがあります。

それらの場合に、遺言書で第三者を後見人と指定し、制限行為能力者の管理などを依頼することが可能です。

遺言書を書くときは誰までが相続人に該当するのかを確認しておき、もし制限行為能力者がいて後見人を指定しなければならない場合は、事前に指名する人に後見人を引き受けてくれるか承諾を得ておきましょう!

(6)財産の寄贈

財産の寄贈

遺言者の財産を相続人以外の人に寄贈することも可能です。

一般的には、遺言者の財産は相続人の間で分配されますが、遺言書に寄贈する旨を記載すれば、法定相続人以外の個人や特定の団体(法人)にも渡すことができます。

ただし、相続人の遺留分に配慮する必要があり、寄贈する財産を特定することが重要で、「株式会社○○に金2,000万円を寄贈する」のように寄贈内容を明確にしましょう!

また、財産を相続する場合には、相続先が個人なら相続税、法人なら法人税が発生する可能性があります。

寄贈先が学校運営や社会福祉などの公益事業を行っている場合は課税の対象にならないので、寄贈先の課税の有無を確認しておきましょう。

(7)遺言執行者の指定

遺言執行者の指定

遺言者の意向を汲んで、遺言内容に沿って相続手続きをしてもらうための遺言執行者を指定することができます。

特に、相続人の排除や内縁の妻や隠し子の認知、財産の寄贈など戸籍上の相続人に不利が生じる遺言内容を残す場合は、遺言執行者を指定するのが一般的です。

遺言書の通り遺産相続をするためにはさまざまな手続きを取る必要があり、遺言執行者を指定していなければ、損をする相続人が手続きを放棄する可能性があります。

なお、遺言執行者は相続人の中から選ぶこともできますが、トラブル防止や確実に手続きを踏んでもらうために、専門家に依頼するのが無難です。

自分の望みどおりに相続手続きをしてくれる人を遺言執行者にしましょう!

3.遺言書の無効を防ぐ4つのコツ

遺言書の無効を防ぐ3つのコツ

遺言書の無効を防ぐコツを紹介します。

遺言書を作成するときのコツは以下の4つです。

  1. 専門家に確認してもらう
  2. 公正証書遺言を作る
  3. 遺言執行者を指定する
  4. 判断能力が正常なうちに取り掛かる

順に紹介するので、遺言書を作成するときの参考にしてください!

(1)専門家に確認してもらう

弁護士に確認してもらう

遺言書の無効を防ぐためには、専門家に確認してもらうのが確実です。

一般人には見抜けない細かいミスにも気づいてくれるので、不備が発生する可能性が最も低くなります。

相続人の排除や内縁の妻や隠し子の認知、財産の寄贈などを記していた場合、無効になったときの影響が大きいので、確実に遺言書が有効であることを確認した方がよいでしょう。

遺言内容が知られることになりますが、第三者に情報が漏れることはありません。

無効になって悲しい思いをする人が現れないように、自筆証書遺言を作成するときは、専門家に確認してもらいましょう!

(2)公正証書遺言を作る

公正証書遺言を作る

無効のリスクを減らすためには、公正証書遺言を作成することも有効です。

公正証書遺言は、専門家の公証人が公文書として遺言書を作成するので、不備で無効になる可能性は極めて低いといえます。

特に戸籍上の相続人に不利が働く遺言内容にする場合、不利を被る相続人から無効を要求される可能性が高いので、確実に遺言者の意向に沿って相続手続きを進めるために公正証書遺言を作成しておきましょう!

(3)遺言執行者を指定する

遺言執行者を指定する

遺言執行者の有無で、遺言書の効力に差が発生します。

遺言執行者がいれば、相続人に代わって相続手続きを進めてくれるので、相続人からの無効の申し立てが発生しにくいのです。

一方、遺言執行者を指定せずに相続人自らが相続手続きをする場合、手続きを進めるうちに相続人に不利な部分が明らかになり、無効を申し立てる相続人が発生する可能性があります。

遺言書を作成するときのアドバイスや作成後の内容確認を受けるときに、遺言執行者を依頼しておくとよいでしょう!

(4)判断能力が正常なうちに取り掛かる

判断能力が正常なうちに取り掛かる

遺言書は判断能力がある内に作成しておきましょう。

老化や認知症などにより判断能力が低下すると、自分では気づかないミスを誘発する可能性が高いです。

判断能力が低下していると客観的に判断できる時期に遺言書を作成した場合、「正常な判断能力が失われていた」として無効を主張する相続人が発生する可能性もあります。

不備に気づきやすいときに作成しておくと、無効になる確率を減らせるだけでなく、スムーズに作業を進めることが可能です。

もし、相続財産が変動したときは相続内容だけを書き直せばよいので、なるべく早めに取り掛かりましょう!

まとめ

遺言書を自筆で作成する場合、無効になる可能性があることを頭に入れておく必要があります。

全て自筆になっているか、作成日や署名の記載があるかなど基本的なことから、遺言内容が不明瞭でないかまでしっかりチェックされるので、遺言書の作成後、無効にならないか確認しておくことが重要です。

遺言書でできることはさまざまですが、特に戸籍上の相続人が不利になるような内容を記す場合は、無効を申し立てられる場合があるので、スムーズに相続手続きが進むよう専門家に遺言執行者を依頼しておくとよいでしょう。

ただし、少しの不備で無効になる場合があるので、まずは、【行政書士 小巻秀夫事務所】までご相談ください

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