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遺言書の書き方から注意点・遺言書の種類などわかりやすく解説します!

執筆者プロフィール

行政書士小巻秀夫
行政書士小巻秀夫
京都にて多くの相続案件に取り組む中で、生前のうちから準備をしていなかったために泥沼のような相続になったお客様を見てきました。そこで、皆さんの考えるきっかけになればと思い、コラムを執筆しております。
無料相談もいつでも受け付けていますので、是非一度ご相談ください。

「遺言書ってどうやって書けばいいの?」
「遺言書を書くときの注意点は何があるの?」

遺言書を書こうと思っている人の中には、どうやって書けばよいのか不安な人も多いのではないでしょうか。

実は遺言書のフォーマットに決まりはなく、いくつかのポイントを押さえれば効力を発揮するのです!

本記事では、遺言書の種類や書き方、書くときのポイントを紹介します。

この記事を読めば、自分の望み通りに遺言書を残すことができますよ!

1.遺言書の種類

遺言書の種類

遺言書を書くためには何の種類の遺言書を残すか選ぶ必要があるので、まず遺言書の種類を紹介します。

遺言書は主に以下の4つです。

  1. 自筆証書遺言
  2. 公正証書遺言
  3. 秘密証書遺言
  4. 特別方式遺言

順に紹介するので、どのような遺言書があるのか頭に入れておきましょう!

(1)自筆証書遺言

自筆証書遺言

自筆証書遺言とは、遺言者が自筆で作成した遺言書のことで、紙とペンさえあれば誰でも書くことができます。

特別な手続きをしなくてよいので、自分の好きなタイミングで場所を選ばず作成することができることがメリットの1つといえます。

また、誰にも見せなければ遺言内容が他人に漏れることはなく、作成方法もシンプルで、遺言内容と署名、日付、押印するだけです。

ただし、不備が1つでもあると無効になってしまうので、専門家にチェックしてもらうことをおすすめします。

さらに、遺言書が発見されなければ自分の望み通りに財産を相続できないので、遺言書の保管場所には気を付けましょう!

自筆証書遺言書保管制度とは
2020年7月10に施行された制度で、2018年に成立・交付された遺言書保管法に従ったものです。
この制度により、自筆証書遺言書を法務局において保管することが可能になりました。
法務省│法務局における自筆証書遺言書保管制度について

(2)公正証書遺言

公正証書遺言

公正証書遺言とは、公証人が遺言者に代わって作成した遺言書です。

2人の証人を立ち会わせながら遺言者から遺言内容を聴いて作成し、公証人役場に保管されるので、無効になる可能性が低く偽造や隠ぺいの心配もありません。

ただし、公証役場に申請して打ち合わせをしたり手数料が発生したりするので、時間や手間がかかるだけでなく予算を用意しておく必要があります。

日本公証連合会によると、公正証書遺言の手数料は以下の通りです。

財産金額 手数料
100万円以下 5000円
100万円を超え200万円以下 7000円
200万円を超え500万円以下 11000円
500万円を超え1000万円以下 17000円
1000万円を超え3000万円以下 23000円
3000万円を超え5000万円以下 29000円
5000万円を超え1億円以下 43000円
1億円を超え3億円以下 4万3000円に超過額5000万円までごとに1万3000円を加算した額
3億円を超え10億円以下 9万5000円に超過額5000万円までごとに1万1000円を加算した額
10億円を超える場合 24万9000円に超過額5000万円までごとに8000円を加算した額

自分が公正証書遺言で遺言書の作成を依頼するときに、どのくらい費用がかかるのか確認しておきましょう!

(3)秘密証書遺言

秘密証書遺言

秘密証書遺言とは、自分で作成した遺言書を公正人と2人の証人に保証してもらった遺言書です。

なお、公正人と2人の証人に遺言内容を公開する必要はなく、遺言書の存在を確認してもらうだけなので、他人に遺言内容を知られる心配はありません。

ただし、遺言内容に不備があれば無効になる可能性があるので、自筆証書遺言と同様に専門家に有効か確認してもらいましょう。

また、遺言書の存在を確認してもらった後は、自分で持ち帰って保管する必要があるので、盗難や紛失に注意が必要です。

秘密証書遺言を作成するには11,000円の手数料が発生するので、無効の可能性や安全性を考慮すると公正証書遺言の方が安心といえます。

相続財産額によって手数料が変わるので、予算と相談して秘密証書遺言か公正証書遺言を活用しましょう!

(4)特別方式遺言

特別方式遺言

特別方式遺言は、病気や事故によって死に直面している状況で書く遺言書です。

遺言書の作成日から6ヶ月遺言者が生存していた場合は、内容は無効化される特徴があります。

特別方式遺言には緊急時遺言と隔絶地遺言の2つ種類があり、遺言者の置かれた状況によって分類されるのです。

緊急時遺言 一般臨終遺言
  • 病気など死が迫っている状況で行う
  • 遺言者にのみ死が迫っているときに適用する
  • 3人以上の証人のもと、遺言者が口頭で説明した遺言内容を文章に書き起こす
  • 遺言書作成日から20日以内に裁判所に確認請求をしなければならない
難船臨終遺言
  • 船の遭難や飛行機の難航によって死が迫っている状況で行う
  • 周囲も死の可能性があるときに適用する
  • 2人以上の証人のもと、遺言者が口頭で説明した遺言内容を文章に書き起こす
  • 裁判所の確認請求に期限はないが、必ず確認してもらわなければならない
隔絶地遺言 一般隔絶地遺言
  • 刑務所に服役中や伝染病で病棟に隔離されているときに行う
  • 死が迫っている必要はなく、自由に行動できない状況で適用する
  • 警察官1人と承認1人以上のもとで、遺言者本人が作成する
船舶隔絶地遺言
  • 船舶中に行う
  • 死が迫っている必要はない
  • 船長もしくは乗務員1人と証人2人以上のもとで、遺言者本人が作成する

遺言者の立場で内容が変わるので、どのような遺言方法があるのか頭に入れておきましょう!

2.自筆証書遺言を書く手順

自筆証書遺言を書く手順

自分で遺言書を書く場合は自筆証書遺言を残すことになるので、自筆証書遺言の書き方を紹介します。

自筆証書遺言の書く手順は以下の通りです。

  1. 相続財産を確認する
  2. 財産を特定できる資料を準備する
  3. 相続内容を決める
  4. 自筆で遺言を書く
  5. 封筒に入れて封印する

順に紹介するので、この流れに沿って作業を進めてみましょう!

なお、以下の記事で自筆証書遺言のメリット・デメリットを紹介しているので、あわせてご覧ください。

(1)相続財産を確認する

相続財産を確認する

遺言書を書き始める前に、相続財産がどのくらいあるのか確認することが重要です。

遺言書を書き終わった後に、新たに相続できる財産が明らかになり書き直さなければならない可能性もあるので、紙に書き出して漏れがないか確認しておくことをおすすめします。

相続財産の額を把握しておくと、途中で公正証書遺言に切り替えするときに、手数料がどのくらいかかるのかすぐに調べることが可能です。

相続内容も決めやすくなるので、事前に相続財産をチェックしておきましょう!

(2)財産を特定できる資料を準備する

財産を特定できる資料を準備する

相続財産の内容を正確に記さなければならないので、財産内容が確認できる資料を準備します。

明確な数字が記載されておらず遺言内容が不明瞭であれば、相続人間でトラブルに発展する可能性が高いです。

そのため、預貯金であれば口座情報、不動産であれば登記簿謄本など、財産が特定できる資料を添えておきましょう。

相続人間で不要な争いが起きないようにするために遺言書を残すので、客観的に相続財産が特定できるようにしておくことを重要です。

(3)相続内容を決める

相続内容を決める

相続財産の資料が準備できたら、相続内容を決めます。

相続内容を決めるときは以下のポイントを押さえることが重要です。

相続内容を決めるポイント

  • どの財産を相続するのか
  • どの相続人に相続するのか
  • どのくらいの割合で相続するのか

つまり、どの財産を誰にどのくらい相続させるのかを決めるのです。

なお、財産を相続人に相続するには、さまざまな手続きを行う必要があります。

相続手続きをスムーズに進めるために、遺言執行者を決めておきましょう。

遺言執行者とは、遺言内容に沿って相続を行うために代表して相続手続きを行う人のことです。

相続人の中から選ぶのが一般的ですが、中立的な立場の人に任せたい場合は専門家に依頼しましょう!

(4)自筆で遺言を書く

自筆で遺言を書く

決めた遺言内容を自筆で記していきます。

一部でも代筆やパソコンで入力されていれば、その遺言書は無効になるので気をつけましょう。

また、遺言書を書くときは誰が見ても読めるようにはっきりした字で書くことがポイントで、氏名は省略せず、戸籍に登録されている正式な漢字を使ってください。

相続内容は準備した資料に基づいて書きましょう!

(5)封筒に入れて封印する

封筒に入れて封印する

遺言書を書き終えたら、封筒に入れて封印します。

封印することで、情報漏洩や改ざんの防止をすることが可能です。

ただし、1度封印してしまうと中を確認できなくなるので、封入前に専門家に内容を確認してもらうことをおすすめします。

なお、誰が書いた遺言書から分かるように、表面には「遺言書在中」と記入し、裏面には遺言書作成日と遺言者の氏名の記載、押印、割印をしておきましょう!

3.自筆証書遺言を書くときの4つのポイント

自筆証書遺言を書くときの4つのポイント

自筆証書遺言を書くときのポイントを紹介します。

気を付けなければならないポイントは以下の4つです。

  1. 作成日を明確に記載する
  2. 署名と押印をする
  3. 正しく訂正する
  4. 複数になったときは契印をする

順に紹介するので、自筆証書遺言を書くときに意識しましょう!

(1)作成日を明確に記載する

作成日を明確に記載する

必ず作成日を記載しましょう。

令和○年×月△日のように、はっきり特定できるようにすることがポイントです。

このパターン以外にも、満85歳の誕生日のように作成日が特定できる書き方であれば問題ありませんが、相続人が分かりやすいようにするには、シンプルに日付を記入することをおすすめします。

なお、作成日も自筆でなければならないので、スタンプ等は使わないようにしましょう!

(2)署名と押印をする

署名と押印をする

署名と押印がない遺言書は無効になります。

遺言書の最下部に、日付や住所とセットにして記入しましょう。

署名に関しては、遺言者が特定できればペンネームでも問題ありませんが、混乱を招く恐れがあるため、本名をフルネームで記入するのが無難です。

また、押印において認印でもかまいませんが、正式な書類なので実印の方が望ましいでしょう。

(3)正しく訂正する

正しく訂正する

途中で間違いに気づき訂正する場合は、正式なやり方で行ってください。

一般的な書類では、訂正箇所に二重線を引き、二重線の上に訂正印を押して、正しく書き直します。

しかし、遺言書の場合は、正しく書き直すだけでなく、余白部分に訂正内容を説明する必要があるのです。

たとえば、口座番号を間違えて訂正したい場合、「10行目の14567とあるのを14576と訂正した。(遺言者氏名)」と訂正事項の説明を入れます。

厳格に訂正方法が決まっているので、もし訂正方法に不備があれば遺言書は無効になってしまうため、訂正するのであれば始めから書き直した方が無難です。

訂正箇所が多くなれば、訂正前の遺言内容と混同する可能性もあるので、時間に余裕があれば書き直しましょう!

(4)複数になったときは契印をする

複数になったときは契印をする

遺言書が複数になったときは、契印をする必要があります。

契印とは2枚以上の書類が1つの連続した文章であることを証明するための割印のことです。

契印をすることでホチキスを外して文書の抜き取りや差し替えがあった場合にすぐに気づくことができます。

契印に使うハンコは署名の横に押すものと同じもので問題ないので、ホチキスで留めた部分までページを広げ、両ページにまたがってハンコを押しましょう。

まとめ

遺言書には4つの種類がありますが、基本的に書くことになるのは自筆証書遺言です。

自筆証書遺言を書くときは、まず相続財産を確認し特定できる書類を準備する必要があります。

ただし、遺言書の一番のリスクは無効になることですので、まずは【行政書士 小巻秀夫事務所】までご相談ください!

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