遺産分割協議書が必要なケースと作成方法を解説!専門家に依頼する場合とは?

執筆者プロフィール

行政書士小巻秀夫
行政書士小巻秀夫
京都にて多くの相続案件に取り組む中で、生前のうちから準備をしていなかったために泥沼のような相続になったお客様を見てきました。そこで、皆さんの考えるきっかけになればと思い、コラムを執筆しております。
無料相談もいつでも受け付けていますので、是非一度ご相談ください。

「必ず遺産分割協議書がないと遺産分割はできないの?必要なケースは?」
「遺産分割協議書の実際の書き方について知りたい。」

このように、遺産分割協議書について知りたいという方は多いと思います。

実は、遺産分割協議書の作成は法律で義務化されているわけではありません。

ですが、遺産分割協議書が銀行や法務局で必要書類として求められたり、作成することで後々の面倒なトラブルを防ぐことができます。

この記事では、遺産分割協議書が必要なケースと不要なケースについて解説したうえで、遺産分割協議書の作成方法について紹介します。

以下の記事では、遺産分割協議書の書き方について紹介しているので是非参考にしてください。

1.遺産分割協議書とは

遺産分割協議書とは、遺産分割協議の結果を書面に取りまとめたもの書類のことを指します。

遺産分割協議とは
相続が発生した場合に、相続人全員で遺産の分け方について話し合うことです。

遺産分割協議書については、次の章から詳しく説明しています。

2.遺産分割協議書が必要な4つのケース

相続手続きで遺産分割協議書が必要になるのは、主に以下のような場合です。

  1. 不動産の相続登記をする場合
  2. 相続税の申告をする場合
  3. 預金口座が多い場合
  4. 相続人どうしのトラブルが予想される場合

順に解説します。

(1)不動産の相続登記をする場合

不動産の相続登記手続きでは、多くの場合で遺産分割協議書が必要になります。

不動産を相続するには相続登記手続きを行いますが、登記申請をする際は、申請書とともに「なぜ登記が発生し、誰にどの権利が移ったのか」を証明する書類を添付する必要があります。

その際、遺産分割協議書を添付するのが一般的です。

(2)相続税の申告をする場合

相続税の申告手続きでは、遺産分割協議書が必要になります。

遺言書がある場合にはそれを基に遺産を分割しますが、遺言書がない場合には、相続人全員で協議をし、協議の結果を記した遺産分割協議書を作成が必要です。

なお、相続人のなかに未成年者がいる場合には、その未成年者について家庭裁判所で特別代理人の選任を受け、特別代理人がその未成年者に代わって協議を行います。

(3)預金口座が多い場合

故人の預金の引き出しは、金融機関が指定する用紙に相続人全員が記入すれば、遺産分割協議書がなくても手続きができます。

ですが、預金口座の数が多い場合は、手続きのたびに全員で用紙に記入しなければならず負担になってしまいます。

また、相続すると勝手にお金を引き出す相続人が出てきたり、後日になって「もっと公平に分割するべきだ」と言い出したりするトラブルもあります。

遺産分割協議書を作成し金融機関に提示することで、手間もトラブルも回避することができます。

なお、預金引き出しの具体的な手続きについては、取引している金融機関の窓口で確認してください。

(4)相続人どうしのトラブルが予想される場合

遺産分割協議書は、相続手続きに必要であるだけでなく、遺産についての協議の内容を記録するという意味においても重要な書面です。

口約束や効力のない遺言書の場合、「言った」「いや、聞いていない」の水掛け論に発展したり、「分割の割合が不公平だ」と揉めたりすることはよくあります。

遺産分割協議は話し合いで決めた内容の証拠書類になりますので、後日協議の内容について争いが起こるのを防ぐ効果があります。

そのため、相続手続きで特に必要としない場合でも、遺産が比較的多く、相続人数も多いなどトラブルが予想される場合には、遺産分割協議書の作成をおすすめします。

3.遺産分割協議書がなくてもよい3つのケース

次に該当する場合は遺産分割協議自体が不要なので、必然的に遺産分割協議書を作成する必要はありません。

  1. 相続人が1人だけの場合
  2. 遺言書のとおりに遺産分割する場合
  3. 遺産が現金・預金だけで、預金口座の数が少ない場合

順に解説します。

(1)相続人が1人だけの場合

遺産を取得する権利がある人(法定相続人)が一人しかいない場合は、遺産分割協議書は必要ありません。

なぜなら、他の相続人と話し合う必要がないためです。

また、相続放棄、相続人の廃除、相続欠格によって相続人が一人しかいなくなった場合も同様です。

その際は、戸籍関係の書類で相続人が1人しかいないことの証明が求められます。

(2)遺言書のとおりに遺産分割する場合

有効な遺言書があり、すべての遺産の行き先が遺言書によって指定されている場合、遺産分割協議書は不要です。

ただし、日付漏れがあったり、押印がなかったりするなど、法律で定められている形式・要件を守っていない場合、その遺言書は無効となります。

さらに、遺言書と異なる内容で遺産分割をする場合は、遺言書によって財産を取得できる人と、相続人全員の合意があれば遺産分割が可能となります。

そのため、遺言書の状況によっては、遺産分割協議書が必要となってくるケースがありますので注意しましょう。

(3)遺産が現金・預金だけで、預金口座の数が少ない場合

故人が自宅で保管していた現金を分け合うときは、どこかに届け出る必要はないため、遺産分割協議書を作成する必要はありません。

預金の場合も、金融機関が指定する用紙に相続人全員が記入すれば引き出すことができるので、遺産分割協議書は必ずしも必要ではありません。

ただし、前述したように預金口座が多いい場合は、無用なトラブルと金融機関での手間を省くため、遺産分割協議書があると便利です。

4.遺産分割協議書を作成するには

では、遺産分割協議書が必要な場合、どのようにして作成すればよいでしょうか?

遺産分割協議書には決まった形式や書式はありませんが、必要事項を簡潔に書くことが大切です。

  1. ひな型を利用して作成
  2. 専門家に依頼

順に解説します。

(1)ひな型を利用して作成

自分たちだけで遺産分割協議書を作成するときは、ひな型を利用することをおすすめします。

インターネット上で「遺産分割協議書 ひな型」と検索すれば出てくるので、「通常の場合」、「代償分割をする場合」、「特別代理人を立てる場合」など状況に応じたひな型を使いましょう。

(2)専門家に依頼

遺産分割協議書はひな型を使えば自分で作成できますが、次のような場合は専門家の助けを借りることをおすすめします。

  • 相続人同士で争いが起きている
  • 相続人の関係が複雑である
  • 遺産の数や種類が多い
  • 遺産分割協議書を作成する時間がない

また、遺産分割協議書の作成について、どの専門家に相談すればよいかについては、おおむね次のように分類できるので参考にしてください。

行政書士 相続財産が現金・預金のみで、相続税申告が不要な場合
司法書士 相続財産に不動産があり、相続税申告が不要な場合
弁護士 相続人どうしで争いが起きている場合
税理士 相続税申告が必要な場合

専門家に依頼すると、遺産分割協議書の作成だけでなく、その前提となる遺産分割についても有用なアドバイスを受けられることがあるので、必要に応じて利用しましょう。

まとめ

相続手続きで遺産分割協議書が必要かどうかは、相続人の人数やどのような遺産をどのように相続するかによって決まります。

遺産分割協議書が必要な場合は、ひな型を参考に自分たちで作成することができます。

ただし、初めて自分で作成するのは、難しいのも事実です。

そのため、まずは、【行政書士 小巻秀夫事務所】までご相談ください!

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